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役割遂行技・役割破壊技における命中率の思考

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【はじめに】

 本稿では「アーゴヨンの炎技(火炎放射・大文字)はどちらがいいのか問題(某氏曰く顎問題)」を抽象的*1に考えて,命中率について論及します。意外とシングルバトルにおける本質的な問題のように思うので取り扱ってみます。前提として,威力期待値は同じであるということを抑えておきます(危険中立的)。

(参考)
・拙稿「命中率と確定数」『迂闊な月曜日』
http://d.hatena.ne.jp/NoblesseOblige/20171128/1511837203
・拙稿「役割関係の決定とその破壊」『迂闊な月曜日』
http://d.hatena.ne.jp/NoblesseOblige/20171030/1509369085
・拙稿「対応範囲と安定性の相反性」『迂闊な月曜日』
http://d.hatena.ne.jp/NoblesseOblige/20171123/1511451564



【本題】
 さて,比較対象としてメガリザードンYを用います。メガリザードンYの大文字と,アーゴヨンの大文字は本質的に異なるからです。そしてこれは「対応範囲と安定性」という視点だけでは説明できません。

すごーく簡単に言えば
・メガリザードンの炎技はタイプ一致技である
アーゴヨンの炎技はタイプ不一致技である

これに尽きます。順を追って説明していきます。

 まず大事なのが,タイプ一致技は「役割遂行技」であり,不一致技は「役割破壊技(補完技)」であるということです。
 メガリザードンYの大文字は,それが役割なのです。有利対面で役割対象に向かって押す技であり,それは被役割対象(例えばガブリアス)によって受けられます。それはつまり,撃つこと自体は保証されていて命中不安でもリスクが低く,またそれと同時に(ダメージレースを優位に運ぶうえでは)有利対面から後続に最大の負担を与えるため『威力重視(危険愛好的)』の選択をするほうがむしろ合理的なのです。あくまで役割対象に対して遂行したら結果的に裏に負担がかかったということ*2。外してもそれを受けられる相手は「本来の役割対象」じゃありませんから,こちらは素直にその被役割対象を役割対象にする駒(例えばカバルドン)に退き,ダメージレースを再開,建て直せばよいわけです。
 対してアーゴヨンはどうでしょう?このポケモンの大文字は決して役割などではなく,不利対面で押す技になります(いわゆる役割破壊)。当然,外した場合そのまま返り討ちにされてしまいます(試行回数が保証されていない)。また一方で,「交代読み」という概念があるように,アーゴヨン側には本来の役割対象との対面でそれを押す選択(このとき影打ち圏外であれば押すのは悪巧みでも良い)もあります。この場合,行動自体は保証はされる可能性が高いですが,しかしこれは本来の役割対象がなんらかの理由*3で居座ってくるリスクも同時に発生するわけです。そのため,メガリザードンYに比べると素直に大文字1択とはなりにくいわけです。ここで『威力重視』か『命中重視』かの検討フェイズに移ります。
 聞くところによればアーゴヨンギルガルドに対して大文字か火炎放射かで致命的な確定数の差が発生するようです。この確定数の違いを重視する場合,危険愛好的な『威力重視』の大文字を選択することが望まれます。しかし,そこまでは求めない,基本的に退く前提で退けない場合に限り起点回避だけできれば及第点とする,ならば,最低限の打点として危険回避的な『命中重視』の火炎放射を選択することになります*4
 偉そうに色々言及してみたものの,正直この場では「環境と構築による」としか言うことができません。環境というのはギルガルドとその他鋼タイプのKP比率。構築というのは,ギルガルドに対して安定した引き先を用意できる構築なら火炎放射,できないなら大文字ということになります(とくに積み技と併せて運用する場合,退くのは勿体ない=展開思考になるわけですから止まらなさを重視することは大切です。これはどんな高スペックポケモンにも言えて,大文字と火炎放射という選択肢を持ってるポケモンは須らく抱える贅沢な悩みになるはず*5)。個人的には,引き先(若しくは死に出しでギルガルドを起点に,後続まで抜けるポケモン)を用意して,起点回避に専念させてあげたいというのが『好み』です。要するに,ギルガルドを倒すことまでは望まないということになります(ビーストブーストのことを考えると後ろ向きすぎるかもしれませんが,外して起点にされたら目も当てられないし,本来の役割を放棄することに繋がりかねない*6)。というのも,せいぜいめざめるパワーで4倍弱点に足掻くのが精いっぱいだったラティオスや電気タイプに比べるとずいぶん贅沢なことで悩んでいるなあと思った次第だからです()。
 最後になりますが,当たり前ですけどアーゴヨンの本来のタイプ上の役割は毒・竜であるため,実際の採用にあたってはリザードンとは比較になりません。ドラミドロ…はないにしても,竜としての役割ならラティ,毒としての役割ならゲンガーあたりとの比較になるんじゃないでしょうか(かなり固有の性質を持っているのでそれも怪しいですけど)


【おわりに】
 こういう具体的な事例からそれを一般化を試みる作業は面白いですね。最近はブログ徘徊を熱心に行っているので話題に事欠きません。



P.S.
 リザードンはやっぱりオーバーヒート!安定行動をとりながら後続に最大の負担をかけられるその性能はやはり一番噛み合います。命中率も高いですしね。

*1:ダメージ計算等を行いません。考え方のお話

*2:安定して「削り」たい場合は火炎放射でも良いのかも。やっぱり好みに帰結してしまうんでしょうか?どうも自分の中でも手探りです

*3:切り・起点回避など。この領域は正直「読み合い」の段階になるのでこれ以上は一般化できません

*4:そもそも火炎放射で起点回避ができるのかどうか問題もあります

*5:なぜなら対戦相手も同じ条件だから。威力にせよ命中率にせよ甘えた方は対戦相手に対してディスアドバンテージをとることになる。両立は無理だからこそ,できるだけ合理的な選択が要求される

*6:但し,悪巧みを採用する以上,その価値を上げるのはやはり大文字でしょう。積み技は展開志向であり,積んだ駒を退かせるのは弱いため。